オーストラリア国境封鎖まで始まり、コロナウイルスによる経済への影響が深刻になっていました。解雇、無給休暇、ビジネスの倒産、スーパーアニュエーションの残高の激減など直接的、間接的にも悪影響が出ています。特に観光、留学、ホスピタリティー業に関わる方が多い日本人には深刻な問題となっています。
このコロナウイルスによる不況(COVID19)に対する経済刺激策として、2020年3月12日と23日にオーストラリア政府は合計84ビリオンの経済援助を行うことを発表しています。各州政府もいくつかの経済援助を行うことを発表しています
1人750ドル x 2の補助金
ファミリータックスベネフィットやセンターリンクからの補助金を受給している場合、受給者一人につき750ドルの補助金を受け取ることができます。対象者は3月末から4月17日にかけて勝手に振り込まれます。第2弾は2020年7月13日以降に振り込まれます。JobSeeker Payment、Parenting Paymentの受給者は2週間に1回550ドルのCoronavirus Supplementも。
機械、機材、車などの資産の一括減価償却が30,000ドルから150,000ドルに
年商500ミリオンまでのビジネスで、2020年3月12日から2020年6月末までに購入の機械、機材、車などの資産を減価償却(複数年に渡って経費にする)ではなく150,000ドルまで一括で経費とできます。
給料の源泉徴収額(PAYG Withholding)が免除
従業員の給料から引く源泉徴収はBAS(Business Activity Statement)やIAS(Instalment Activity Statement)にてATOに納める必要がありますが、年商50ミリオンまでのビジネスで従業員を雇っているビジネスは最低20,000ドル、最高100,000ドルの補助が出ます。また、給料が少ないなど源泉徴収がない場合も20,000ドルの補助があります。対象は3月BASから9月BAS。
予定納税額の変更
通常理由がないと予定納税額は変えられませんが、予定納税額の金額を減らすことが可能です。
GSTの還付を3か月おきから毎月へ
GSTのかからないビジネス、海外にサービス、商品を輸出しているビジネスなどはGSTの支払いではなく、還付があります。3か月に1回申告、GSTの受け取りをしている場合、GST還付を早く受け取れるよう、GST申告を3か月から毎月に変更できます。
タックスリターンやBASなどのATOへの遅延申告、支払いに対する罰金、利息の免除
通常タックスリターンの未申告やBASの未申告には罰金が科せられ、未払いの債務がある場合は利息を加算されます。しかし、COVID19に影響を受けた場合、この罰金や利息の免除が受けられる可能性があります。
その他にも
観光業、教育、農業などの対象ビジネスへのサポート、グレートバリアリーフ、ナショナルパーク(国立公園)の環境保護税の免除
見習い(アプレンティス)制度下の従業員を雇っているビジネスに1人につき最大21,000ドルまで給料の半分を支給
おそらくダメージがオーストラリアで一番大きいであろうケアンズにATOの臨時オフィスを設置。
州単位では現在のところNSW州、QLD州がペイロールタックスの免除、延期を発表しています。
ただし、スーパーアニュエーションの支払いは貰い手が政府ではなく人(従業員)のため、支払い期限はいつもと同じとなります。
センターリンク補助金
この他にも今回に限ってではないですが、コロナウイルス不況により解雇になった方や低所得家庭にはセンターリンクの失業手当 JobSeeker Payment(旧Newstart Allowance)、子供手当 Parenting Payment などの補助金があります。詳しくはもらえる可能性のあるセンターリンク政府手当をご覧ください。現在通常パスする必要があるAsset Test(資産査定)による待ち期間、2020年4月27日からJob Separation Certificateは必要ありません。
スーパーアニュエーションの引き出し
スーパーアニュエーションは通常60歳引退または65歳まで引き出すことができません。しかし、経済的苦境を理由に特別措置として引き出すことができます。2020年6月までに10,000ドル、2020年7月から10,000ドルまで引き出せます。そしてスーパーアニュエーションの引き出しは通常は税金がかかりますが、今回は非課税(税金がかからない)となります。
記事著者:賀谷 祥平
Ezy Tax Solutions Japan - オーストラリア 税理士法人 公認会計士事務所 ビジネスコンサルティングファーム
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